転職は逃げなのか?転職するか迷っている時の戦略的思考術

転職は逃げなのか?転職するか迷っている時の戦略的思考術

転職は逃避なのか、と悩まれている方へ。

転職を考えたとき、この転職は逃げなのだろうかと自問自答したり、家族や周囲からそのように指摘されたりして、悩む場面はあると思います。

転職エージェントのキャッチコピーでも、「転職は慎重に」とうたっているものもありますね。

では、逃げの転職は一概にいけないことなのでしょうか?また、逃げではない転職ってあるのでしょうか?

結論から言えば、根性がないと思われようが「苦しくて辛くて仕方がない」状態から逃れるのは人生において「プラス」です。

ただし基本的に転職を繰り返すのは、印象はよくありませんから、見極めは大事です。

この記事では、やってよい逃げの転職、やってはいけない逃げの転職、攻めの転職、転職活動を決めたらとるべき戦略について筆者の考えをお伝えします。

良い逃げの転職と悪い逃げの転職とは?

私事ですが、筆者は5回転職を経験しました。

自身の思いや転職活動の中で出会う様々な人々(転職エージェントやさまざまな応募先企業の人々など)の意見を聞く機会をとおして、「逃げの転職」のなかでも、「良い」逃げの転職と、「悪い」逃げの転職があると考えるようになりました。

ここでいう「良い」「悪い」は、道徳的や倫理的な善い悪いではなくて、自分の人生にプラスかマイナスかという意味にとらえてください。

「逃げの転職」とは、現状に何かの不満を持っており、その不満を転職で解決しようと考える動機の転職だといえます。

「逃げの転職」自体は悪いことではありません。

不満は現状への問題提起ともいえるので、それを積極的に解決していく手段をとることは、自分の人生にとって「良い」(プラス)になることにもなりえるのです。

逃げの転職のなかで、「良い」(プラス)になる転職と、「悪い」(マイナス)になる転職の線引きはどう考えればよいでしょうか。

①「良い」逃げの転職

筆者は、自分の力ではどうにも変えられない要素がいまの職場にあり、その要素が自分の幸せな職業人生の妨げになると考える場合は、逃げて新天地を求めてもよい=「良い」転職です。

たとえば、

今すぐ辞めるべき会社

  • ブラック企業(従業員に反社会的・非倫理的な業務をさせる
  • 違法な長時間労働を強いる
  • 組織的にパワーハラスメントやモラルハラスメントを許し助長する環境がある

などで心身ともに疲弊してしまう劣悪な労働環境で、上長や人事にかけあってもどうしても状況が動かない、つらい時間だけが無為に過ぎていく場合などは、自分の身を守るために逃げても良いのです。

職場のストレスでうつ病を発症する方もいますし、もっとも極端な例でいえば、厚生労働省によれば、年間の自殺者2万人のうち約11.5%が勤務環境に起因する原因で自殺を選んでしまったようです。

世界中に企業はたくさんあるのです!この場合は逃げるが勝ち。

ただし、客観的にブラック企業なのか、本当に努力では変わらないのか、という点は冷静に分析する必要があります。

本当に環境自体が不合理なら同じように苦しんでる同僚や、会社を良くしたいと思っている同僚は必ずいます。

その人たちと協力することでできることはないのか、賛同者がいないのであればなぜ自分だけが辛いと思っているのかを考えましょう。

自分がやれることをやったのであれば、応募先企業もあなたの苦しみや努力を理解してくれるでしょうから、逃げをマイナスだとはとらえないはずです

もう1つの逃げて「良い」転職パターンは、働いているうちに、家族環境が変わったり、価値観が変わったりする場合です。

例えば、ご家族が病気になったり介護の問題が発生したりした場合、より勤務地が近い場所やフレックスタイムが採用されている職場に変えるという選択肢は、立派な人生戦略の一つです。

また、事務職として働いていたけれど、業務のふとしたきっかけで、渉外など人と接することで自分らしさを発揮できるのだ、という気づきがあるということは、特に人生の若いステージではありえること。

人生100年時代と言われるこの時代に、自分の得意を探して生きていく働き方を追求していくことはありでしょう。

②「悪い」逃げの転職

逆にやってはいけない逃げの転職とは、いわゆる青い鳥症候群の転職です。

深く考えずに、もっとふさわしい環境があるはず、ここではないどこかであれば幸せになれる思ってなんとなく新天地を求めることです。

たまたま新天地がよいものであれば、その転職は成功するかもしれません。

でも、そんなふうに運に任せてしまうのはリスクが大きいことだと思いませんか?

職歴にストーリーやポリシーがない転職は、だいたい採用面接で見抜かれてしまいます。

職種軸なのか、
業界軸なのか、
商品なのか、
会社理念やカルチャーへの共感なのか、

人それぞれ、職業へ求めることの価値観や重み付けは違います。

自分の価値観を自分でわからないまま、やみくもに転職を重ねると、職業人として信頼されなくなってしまう可能性があります。

日本は諸外国に比べて、まだまだ長い期間同じ会社につとめることを美徳と考える文化があります。

転職はいままでのステージからジャンプアップできる翼であるともに、そういった文化的背景からはマイナスであるという評価を人から受けるリスクでもあるいわば諸刃の剣です。

転職にあたっては、その点をよく考えて決断することをおすすめします。

攻めの転職とは?

現状でもハッピーだけれど、オンリーワンの自分の強みをもっといかしたい、違うスキルを身につけて持っているスキルと組み合わせて、掛け算効果でほかならぬ自分にしか提供できない付加価値を提供できる人材になりたい、というような転職は、もはや攻めの転職といってよいでしょう。

最終的には、こういった選択ができるようになることはひとつの理想系ですよね。

その際に、転職することを決めたらとる鉄則の戦略は以下の2つです。

①転職先が決まるまで現職を辞めない

現職の職場で転職活動をしていることをほのめかさない。

転職は、採用先企業に自分を買ってくださいというセールスに似ています。

セールスをするときに、この人が買ってくれないともうあとがない、という状況になると、条件交渉は不利になることが普通です。

条件をさげてもかってほしいという心理的なプレッシャーがかかるからです。そのため、転職先が決まるまでは現職を辞めないことが大切なのです。

また、現職に転職活動をしていることをほのめかすと、現場の士気がさがりまわりに迷惑をかけてしまいます。

また、転職するんでしょうというムードをつくりだしてしまうといづらくなってしまうので、上に書いたような転職の交渉に影響してしまいます。

実際にはうっすら感づかれていたとしても、あくまでもそしらぬ顔で平常に現職での職務を行うことが、転職者のマナーであり、活動も成功させるこつといえるでしょう。

②自分の商品価値を把握する

自分に磨きをかき、客観的にアピールする方法を練習する。

転職者の商品価値(=転職市場で多くの企業からいいね、と思ってもらえる価値)は、ハードスキルとソフトスキルの両方から決まります。

ハードスキルとは、

  • 語学
  • PC系の資格
  • 現職の規模やタイトル
  • 専門資格・スキル
  • など、客観的にはかれるものです。

    客観的にはかれるものはなるべく職務経歴書に列挙するなどして、一見して転職先がそれを把握できる形にしておくことが望ましいです。

    転職活動開始までに時間があるならば、ハードスキルは自分の努力であげることができるので、いつも磨き、技術を更新して、いざというときにアピールができるように準備しておくことがおすすめです。

    一方、ソフトスキルは、

  • こつこつ努力できる
  • 協調性がありメンバーとうまくやれる
  • リーダーとしてチームのモチベーションをあげるのが上手
  • 人の懐に入るのがうまい
  • など転職者の持ち味やキャラクターです。

    持ち味やキャラクターそのものに優劣や良い悪いはありません。

    募集している職種、入るチームにフィットした持ち味やキャラクターを持っている人を採用するのが、転職者にとっても受け入れ企業にとってもハッピーという相対的な価値で決まるものです。

    たとえば、非常にシニアでリーダーシップにすぐれた候補者が、若手のリーダーが率いるチームのメンバーに応募した場合、入社後の軋轢は想像ができてしまいます。

    逆にたちあげたばかりのチームを率いてくれる人を募集しているポジションに応募した場合は、候補者のキャラクターや持ち味は強力なプラスに転じるのです。

    そのため、応募しようとしているポジションがどういう持ち味とキャラクターを求めているかを研究しましょう。

    自分の持ち味とキャラクターにあったポジションを選んで受ける、そしてそのポジションにあった自分のソフトスキルを、面接者に印象づけることが大切です。

    ポジションにあったソフトスキルがどういうものであるかは、転職エージェントを通じて、

  • どういう経緯でこのポジションが募集されているのか
  • 新規ポジションなのか欠員募集なのか
  • 上司や同僚はどういうプロフィールなのか
  • という情報を収集することにより、ある程度予測をつけることができます。

    この予測のもとに、実際の面接での企業との対話を通して、予測があっているのか自分自身で確認していく作業が必要です。

    まとめ~幸せな職業人生をあゆむために~

    転職は逃げではないかと悩まれている方に、逃げてもいい転職、悪い転職、次の転職で成功するためのティップスをお伝えしてきました。

    筆者は5回の転職のたびに、いつも直近企業が自分にとっての自己ベストであると思いますし、転職のたびに年収もあげていくことができました

    (年収については、もとの職場にステイしたとしても、年齢経験ポジションがあがればあがっていくものなので、一概に転職効果とは言えないと思いますが。)

    自分なりに納得がいく転職ができてきた理由は、転職エージェントの皆様のアドバイスや書籍をとおして、

  • 転職して何を実現したいのか
  • 現職では実現できないことなのか
  • 自分の商品価値は何であと何をたせばもっと価値を高められるのか
  • いまある価値をどうアピールすればいいかを学ぶことができたからだと思います。

    仕事は人生の幸福感を左右するものです。「嫌われる勇気」というベストセラーで日本でも有名になったアルフレッド・アドラーという心理学者は、人間が幸福になるためには、

  • 仕事のタスク
  • 愛のタスク
  • 交友のタスク
  • が満たされることが大切であると説いています。

    それほど、人間にとって仕事で満足感をえるということは、大きなファクターです。

    結果的に転職をするにせよしないにせよ、どういう環境で誰とどのように何をして働きたいのが理想なのか自分自身と対話してみることがおすすめです。

    紙に書き出してみると思考がまとまりやすいかもしれません。

    転職エージェントとの面談はだいたい無料ですので、何名かと会ってみて、対話することで自分の思いに気づくこともあるかもしれません。

    皆さんが幸せな職業人生をあゆむためにベストな選択ができることをお祈りしています。