幼稚園、小学校時代に消火訓練や高い場所からの救助訓練をする消防士の活動を見て、その頼もしい姿に憧れた人も多いのではないでしょうか?
社会で役に立つ仕事でもあり、また、公務員という収入の安定した消防士は人気の高い職業と言えます。
一度は社会人として一般の会社に就職した人々が、そんな消防士に転職するとしたら、いくつかの方法が考えられます。
ここでは、消防士に転職を考える人たちのために、様々な情報をお伝えしたいと思います。
もくじ
消防士になるためには条件がいくつかある
消防士になりたい、と言っても全ての人がなれるわけではありません。
消防士は地方公務員ですので、各自治体での消防官採用試験に合格し、消防学校での訓練を受けての業務遂行となります。
問題は、この消防官採用試験を受験するためにはいくつかの条件があることです。
年齢による条件
消防官採用試験はその自治体によって多少の条件は変わりますが、年齢に関してはほとんどが30歳までとなっています。
つまり、30歳以上であれば受験すらできないということになります。
身体的な条件
これも自治体によって違いますが、身長や体重の条件が課せられている地域もあります。
たとえば、男性では身長が160㎝以上、体重50キロ以上、肺活量3000㏄以上あることなどの身体的な条件をクリアしなければいけない場合もあります。
消防士の仕事には4つの内容がある

消防士というと、消火活動を思い浮かべがちですが、実際の仕事内容としては消火活動、救助、救命、予防という仕事内容になります。
「119」をした時に、消防車か救急車のどちらが必要なのかと聞かれることでもわかりますよね。
それによって、出動する隊員が違ってくるからなのです。
消防士の仕事内容①消火活動
知っての通り、火災現場に急行し、消火活動を行う消防士です。その際の人命救助にもあたり、効率良く鎮火できるように日々、訓練を行います。
現場出動以外はほとんどが訓練と言っても良いでしょう。
消防士の仕事内容②救命活動
事故現場や急病人のところへ駆けつけて、病院へ搬送する仕事です。救急車での出動となり、いつ出動要請が来ても良いように消防署内で待機しています。
消防士の仕事内容③救助活動
救助はあらゆる災害が起こった時に人命を救助する活動のことです。危険な場所での作業が多く、肉体的にも精神的にも強靭な力が求められます。
消防士の仕事内容④予防活動
予防に関しては、災害に対しての対策を一般の人々に広めていく活動です。
女性消防士も多く活躍していることで、親しみやすい消防士の印象をあたえていると言って良いでしょう。
消防士になるための消防官採用試験の内容とは?

消防士になりたい、転職したいと思ったら、消防官採用試験を受けなければなりません。
消防士採用試験には、1次試験、2次試験があります。
1次試験は、教養試験、論文、適性検査などがあります。
1次試験に合格すると、消防士として必要な体力試験として2次試験へと進みます。
体力検査では、1㎞走や反復横跳び、立ち幅跳び、握力、腕立て伏せなどの項目で審査が行われます。
また、消防士としての志望動機などの面接も行われる自治体も多くなっています。
1次試験の教養試験では、
世界史、日本史、地理
芸術、英語、古文
現代文、社会、時事
政治、経済、化学
生物、物理、数学
など、いわゆる一般教養と言われる多方面の分野からの出題となっています。
そのため、あらゆる角度の教養が必要となるため、受験にあたってはそれなりの対策を考えなければならないでしょう。
消防士になるための専門的な予備校に通うか、通信講座や通学講座で勉強をするのが一般的のようです。
また、忘れてはいけないのが、体力試験に向けての体のトレーニングでしょう。せっかく1次試験を合格しても、2次試験で落ちてしまうこともありますので、勉強をしながらも体のトレーニングは欠かせないのです。
消防官採用試験に合格した後の流れ
消防官採用試験に合格すると、全寮制の消防学校に半年から1年入校することになります。
消防士として必要な体力、知識を学ぶ期間ですが、消防学校に通っている消防職員という位置づけで給与と手当てが支給されることになっています。
ただし、その訓練は体力的にもとても厳しいものだと覚悟しておかなければなりません。火災現場や災害現場での救助は過酷で、悲惨な状態です。
その中にあって、常に冷静で適正な行動をとらなければいけないのが消防官なので、そのための訓練が厳しいのはむしろ当然かもしれませんが、一般の人々の想像を超えるものだと言われています。
それでも消防官になりたいという人々が多いのはありがたいことなのかもしれませんね。
また、体力作りなどの訓練のほかにも、消防活動に必要な機材の取り扱い方や知識や技能などを身につけていかなければなりません。
一日のカリキュラムが決められており、規則正しい生活を送ることになります。
消防学校は全寮制となっていて、消防職員として決められたルールの下での生活を強いられます。入校直後などは、外出制限や外泊禁止などが通常でしょう。
食事や入浴、就寝などの時間が細かく決められていたりと、日常生活はそれまでと一変することが多いようです。
そんな生活を半年から1年過ごして、消防学校を卒業し、配属先の消防署で任務に就くことになります。
最初は「火消し業務」や「ポンプ車の隊員」になることが多いとされています。
消防士の勤務体系は24時間勤務と非番を繰り返す

消防士の勤務体系はその自治体によって異なります。
ただし、共通して言えることは、緊急の通報によって、いつでも出動しなければならないということです。
多くの自治体では、24時間勤務と非番を繰り返す勤務体系はそのためです。その中で、朝から夕方までの日勤勤務が加わるなど、その自治体によって様々な工夫がなされています。
ただし、24時間勤務の次の日は非番、その次の日は休日となることがほとんどで、一般の会社員よりは家にいる時間が多い感覚はあるかもしれません。
消防士の給料や年収は高額?
消防士を目指す人の中には、その安定した収入や待遇を期待する人も多いでしょう。
確かに消防士は、その職務の危険性や24時間体制の勤務体系のため、一般の公務員よりも12%ほど高い給与が支給されています。
また、殉職などの場合には補償制度も整備されています。
消防士の給与は、勤務年数や職務内容によって違いがありますが、基本的には毎年昇給となります。
平均の月額給与は、40歳で32万ほどとなっています。
高卒と大卒では多少の違いがあり、初任給で5万ほどの差があることと、昇進するスピードも大卒の方が早いため、昇給もその分早いことになります。
そう考えると、高卒からでも消防士になることはできますが、大卒から目指す方がはるかに有利だということになりますね。
消防士には一般の給与のほかに、「出勤手当」や「扶養手当」などで10万円ほどの手当てが支給されます。
このほかにも、火災や災害現場に出金した場合には「消防業務手当」、緊急に出動した場合には「緊急出勤手当」などが支給されます。
ボーナスに関しては、夏冬共に2か月分、年に4か月分の給与が出るとのことです。
消防士にとって、一番大切なのが「補償制度」でしょう。
常に怪我や危険との隣り合わせの仕事なので、様々な補償制度が用意されています。
消防士に転職したい!消防士になるための条件や勤務体系のまとめ
一般の職業とは全く異質と言っても良い消防士という職業ですが、このようにいろいろな角度から検証していくと、魅力的な面がたくさんありますね。
公務員の中でもさらに安定した収入と待遇や補償制度は、現在の社会生活の中では大きな魅力となります。
しかし、消防士に転職を考える人のほとんどは、それよりもやりがいのある仕事、自分が誇りと思える仕事に従事できることの魅力を感じているのでしょう。
消防士にも様々な職務内容があるので、本当に自分がやりたい職務を検討し、一般の会社員として働き始めてからでも十分にチャレンジすることができます。
自分が一生をかけてやりたい仕事を見つけるためにも、消防士という職業を改めて考えてみませんか?